
おいしいという感覚は根源的なものだ。どこで感じているのかというと、舌のセンサーで分析し、喉や鼻から食感や香りの情報を受け止め、脳内に信号が送られて、あのうっとりするような満足感が得られるのだという。だけれども、食べる前に「あれが食べたい」と思う気持ちはどこからきているのかといえば、どうやらそれは、腸内細菌が指令しているのではないかと、最近わたしは考えているのだった。腸のなかには約3万種類1000兆個ともいう菌が生息している。彼らが食べたいものが、すなわちわたしが食べたいものでもある、と思う。食べたい時がうまい時、とはよく言ったものですね。
「おいしい」を決めているのが菌だ、ということになると、味覚なんてものが絶対的ではないということがわかる。腸内細菌には善玉菌、悪玉菌、どちらにも与する日和見菌がいて、勢力分布はつねに変化している。どの菌が優勢かによって、何をおいしいと思うかさえ変わってしまうということになる。
腸内細菌のことを調べているわたしのもとへ、ある日衝撃的な情報が飛び込んできた。生きた化石カブトガニはなんと「口と腸のあいだに脳がある」というのですよ! 食べたものは脳を通って腸に行く、そんなナンセンスな、、、、。でも、よくよく考えてみれば、人間だって、食べ物を脳でおいしいと感じてから腸に届けているではないか? ちなみにカブトガニの血液は青いらしい。まだ海中に鉄が溶けていなかった頃のなごりで、青は銅を含むヘモシアニンの色だそう。
蛸や烏賊など軟体動物も同じタイプらしい。
ル・シュクレクール岩永歩さん。北新地店開業したての頃に無茶ぶり。
蛸のサンダル by Ayumu Iwanaga
「蛸の血液は青色なんですって・・・」とは言えなかったのだが、今回も行く先々で蛸のサンダルのイラストを描いていただいた。大阪では、岸辺から北新地へと移転した人気ブーランジェリー ル・シュクレ・クールのオーナー岩永歩さんとマネジャーの横田益宏さん。
「うわっ、ゾワゾワする。。。」と身震いしながら描く岩永さん。
確かに・・・目が離れた感じとか、足が分散していくさまとか、ゾワゾワ。サンダルは描けなくて、パンプス。
ル・シュクレクールマネジャーの横田益弘さん。
蛸のサンダル by Yokota
横田さん。店名を書く時にスペルを間違えてはいけないと雑誌を確認。わりと几帳面。ハチマキしたおじさん風、横田さんの蛸。よこた、のサインに「たこ」が隠れてる、の図。

翌週。御影の老舗ベーカリー「ケルン」壷井豪さん、「ブーランジェリ ビアンヴニュ」大下尚志さんとともに、最近芦屋に開業したばかりのパティスリー「エトネ」へ。神戸のイグレックプリュスで製菓長を務めていた多田征二さんが独立したお店。店名を聞いても「えとね、うんとね」と冗談ばっかり。本当は、エトネ=驚く、という意味のようです。左からビアンヴニュ大下さん、エトネ多田さん、ケルン壷井さん。「サンダルが難しいよなあ」とうなる。
>>04-2へつづく
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